18 運動は体と心それに脳を鍛える



18 運動は体と心それに脳を鍛える

運動すると脳の働きがどのように変わるかの鍵をにぎるのは酸素、栄養、神経伝達物質、成長・栄養因子、環境などさまざまなものがあります。今回はその中の神経伝達物質と成長・栄養因子の最新情報です。

1.神経伝達物質
脳の情報伝達システムをサポートする物質で、情報の発信とそれをコントロールするものと2つに大別されます。

〈グルタミン酸とギャバ(GABA)〉
この二つが情報発信の約80%を担っています。グルタミン酸は昔、頭が良くなると信じた親が、子どものご飯に「味の素」をふりかけたという実話を記憶している方も多いと思います。一方、ギャバは発芽玄米に多く含まれているアミノ酸で、血管の若返り、心臓病、糖尿病、精神安定に有効な成分として注目されています。

〈セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン〉
これらは発信された情報をコントロールします。それぞれの働きをみてみましょう。

▼セロトニン
脳の機能を正常に保ちます。うつ病ではこれが不足していて、運動すると増加することが確かめられています。
▼ノルアドレナリン
注意、知覚、意欲などに関係する信号を増強します。
▼ドーパミン
身体の動きをコントロールします。これが欠けるとパーキンソン病になります。

こうしたシステムは非常に複雑で、一つの物質の操作で毎回同じ答えがでるわけではなく、それにその効果が一人ひとり異なるのが特徴です。

2.脳由来神経栄養因子(BDNF:タンパク質)
最近、肥満症や糖尿病で脳の機能低下が指摘され問題になっています。これらの患者さんは、記憶や認知機能にとって大切な役割をする、脳の海馬が委縮していることが確認されています。現代人の脳は、生活習慣に左右されているといっても過言ではありません。

ところで1920年代、ノーベル賞学者が「脳の神経新生はない」と発表して以来、長い間それが信じられてきました。しかし最近の研究でそれが見事にくつがえされたのです。

中でも注目は、認知症の改善に大きな効果を上げる海馬での神経新生で、その鍵をにぎるのがこの因子なのです。そして興味深いのは、走運動によってこの因子が増加することです。その仕組みは、「筋肉を動かす→タンパク質(BDNF)が作られる→これが血流に乗って海馬にたどりつく→海馬の化学物質が刺激されて神経細胞を作る」となっています。

なぜ最後に脳を重視したかと言えば、それは脳が、私達人間のすべてをある意味でとりしきっているからです。
次回はエピローグです。 

「東葛まいにち」2012年12月12日号掲載


                                                  

タグ

2012年12月13日 18 運動は体と心それに脳を鍛える はコメントを受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: 心とからだの年齢を若くする抗加齢医療

トラックバック&コメント

まだトラックバック、コメントがありません。