12 奇跡の漢方医学 -鍼灸医学の特色-



12 奇跡の漢方医学 -鍼灸医学の特色-

漢方医学は非科学的だとして否定的な人もいます。しかし、科学的医学といわれる近代西洋医学の歴史は、せいぜい200~300年に過ぎません。それに対して漢方医学は、過去2000年にわたり続いていて、西洋医学では治らない病気に対して、起死回生の奇跡をしばしば起こしてきたことは事実です。

どうしてそのようなことが起こり得たのか?それは身体の異常を、それこそ数千年にわたり細かく観察し、それらを経験的に整理・整頓し、独自の哲学思想で体系化した人間尊重の医療だったことにあるようです。

その代表的なものの一つが、経絡・経穴説です。経穴は一般に〝ツボ〟と呼ばれているもので、体の好、不調を映し出す、体表面の重要なポイントです。例えば、胃酸過多以外のほとんどすべての症状に有効とされる〝足三里〟は有名な経穴です。

一方、経絡(良導絡)とは、こうした経穴を連結しながら身体を縦に走るルートのことで、体の表面を通して生体情報を得たり、病変のありかを五感でさぐる、いわば感覚医学ともいえる医療の基礎となる考え方です。

わが国に鍼灸医学が伝わったのは、今から1500年前のことですが、時代の移り変わりとともに、日本独自の治療法の発展をとげています。フランスやドイツでも独創的な研究がされていて、全身の異常を耳の診察でみつける「耳診法(P・ノジェ1956)」などは日本に逆輸送されているほどです。

私も鍼治療を日常診療で取り入れていますが、その理由は、私が学んできた現代西洋医学の方法・技術では解決のつかない症状に直面したからです。

「肩こり、単なる腰痛をはじめとする診断のつかない痛み、ひざや肩の違和感、普段の生活をさまたげるような不快感、不安感」などなど慢性化した症状は、現代西洋医学が苦手としている部分です。鍼治療はこのような訴えに対して、実に効果的な治療方法だと私は確信しています。

現代西洋医学、その中味は大半がアメリカ医学なのですが、科学的根拠(エビデンス)に基づく切れ味鋭い根本治療を目指すあまり、「人間としての病人」の存在を忘れてしまったように思われるのです。

こうした風潮のなかで、鍼灸をはじめとした補完・代替医療が今、大きな注目を集めています。力ずくではなく、人間の自然の治癒力を引き出して、生活の質(QOL)の向上を図ろうとする医療です。今後の発展が期待されます。

次回は「感覚に訴える心と体の癒し 森林浴―フィトンチッドの秘密―」です。 

「東葛まいにち」2012年5月9日号掲載


                                                  

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カテゴリ: 心とからだの年齢を若くする抗加齢医療

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