13 感覚に訴える心と体の癒し「森林浴」-フィトンチッドの秘密



13 感覚に訴える心と体の癒し「森林浴」-フィトンチッドの秘密

熱狂的に日本を愛したポルトガルの日本総領事モラエスは、日本の緑について次のように記しています。「山や、あたりの稲田や畑から、生い茂った草木の烈しい香気が鋭く襲いかかってきた(中略)まるで、母なる自然からほとばしり出る生命の神秘な“醗酵物”の気のように―1913―」
モラエスが嗅ぎとったその物質の正体が、1930年、ロシアのトーキンによって明らかにされました。

発見のきっかけは、植物を傷付けると、周りの細菌や虫が死んでしまうという現象からでした。これは植物がその時、何かの揮発性物質を発散させるためにおこると考えた彼は、これを「フィトンチッド(phytoncid 植物性殺菌素)」と名付けました。

我々の身の回りにもこうした現象がいくつもあります。例えばタマネギやニンニクに包丁を入れたとたん、強烈な刺激が目や鼻に飛び込んできます。これもフィトンチッド効果の一種です。

しかし、人に対する毒性は少なく、多くの場合、生理的リラックス効果など有益な役割を果たすことが知られています。なかでも最近注目を集めているのが森林浴です。

森の中には100種類以上にフィトンチッドがあるといわれています。代表的なものにα―ピネンとリモネンがありますが、それらの吸入実験で、最高血圧が有意に低下することが確かめられています。

これは、森のもたらす癒しが人間の五感を刺激して、心身のストレス解消につながったと考えられています。

そのほか、ガン細胞を破壊する性質をもっている「ナチュラルキラー(NK)細胞」を活性化して免疫力を高める効果も認められています。

しかし、このようなプラス効果の研究や体験談がある反面、スギやヒバ材チップなど「木の香り」に不快を感じたり、小川のせせらぎの音で、水洗トイレを連想してしまうなど、同じ刺激でも個人の受けとり方に差が現われてきます。

森林浴効果をもたらすのは、当然のことですが、フィトンチッドだけではありません。まだまだ未知の物質の存在があるはずです。

そして、さらにその効果は、ほかの代替医療と同じように、個人の価値観、大げさな表現をすると、思想などによって大きく左右されるようです。御自身の好み、経験などに従った楽しみ方、癒し方をおすすめします。森には、所によって魔物が棲んでいるようです。

次回は「感覚に訴える心と体の癒し―笑いの効能―」です。 

「東葛まいにち」2012年6月13日号掲載


                                                  

2012年06月12日 13 感覚に訴える心と体の癒し「森林浴」-フィトンチッドの秘密 はコメントを受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: 心とからだの年齢を若くする抗加齢医療

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