14 感覚に訴える心と体の癒し -笑いの効能-



14 感覚に訴える心と体の癒し -笑いの効能-

遠い昔、人を笑わせる役をする人を「ヲコ(鳴呼)の者」と呼んでいました。ちなみに「おかしい」の語源はこのヲコだといわれています。さしずめその者は、落語の代表的登場人物、八っつぁん、熊公、馬鹿の与太郎たちをさかなに、客席をわかせてくれる落語家といったところでしょうか。


彼らは、うつけ者とも呼ばれていたのですが、どうしてどうして、当時としては、並はずれて鋭い能力の持ち主だったようです。ヲコ者はずっと古くから居たのですが、その昔笑ってもらう相手は人間ではなく、神様だったのです。

我々の祖先にとって神々は、何者にも増して恐ろしく、絶対的な存在でしたから、御機嫌をとって「笑っていただく」ことに心血をそそいだのが、日本の笑いのルーツです。しかしどうしたら神様に笑ってもらえるか各地ではそれぞれ知恵をしぼっています。

例えば、山口県防府市の「笑い講」では、神は〝せいご〟(出生魚)という魚を喜び、これを見せればお笑いなさると信じました。鎌倉時代の正治元年(1199)に始まったこの講は、毎年12月初旬、農業の神大歳神にせいご2匹を献上して行う神事で、上座と下座に座った講員が2人ずつ、榊を手に「アッハッハ」と大声で3回笑い合います。

 第1声は、今年の豊作を喜んで
 第2声は、来年の豊作を祈って
 第3声は、今年の苦しかったこと、 悲しかったことを忘れるために

となっています。毎年TVで放映される歳末風景なので、御存知の方も多いと思います。

しかし、笑いの本質は数百年の間に大きく変化して、笑いは今や、補完・代替医療の一つに数えられていて、科学のメスが入るようになりました。
その結果、笑うと
●高血圧や高血糖値を低下させる。
●ストレスで酸性に傾いている血液のPH(水素イオン濃度のことで正常は弱アルカリ性)を正常にして、血液をサラサラにする。

こうした効果が確かめられています。

ところが血液中のホルモンを調べてみると、戦闘モードのドーパミンと癒しのセロトニンが同時に増えているという奇妙な結果も見られました。

これはどうしたことかというと、笑いが必ずしも単純に「笑う門には福来たる」ではなくて、神々に対する御機うかがいの笑いのように、危険から身を守る防御反応の一種ではないかと考えられるのです。笑いこけて、あまりに油断し過ぎると、かえって身を危うくするという、日本人特有の遺伝子情報がDNAにあるのかもしれません。

笑いの効能もまた、複雑で測り知れないものがあるようです。

次回は「サプリメント神話をさぐる―あふれる情報とその対策―」です。

「東葛まいにち」2012年7月11日号掲載


                                                  

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カテゴリ: 心とからだの年齢を若くする抗加齢医療

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