7 排泄の悩み



7 排泄の悩み

言いがたい屈辱を味わうこととなった。
トイレが我慢できない、しかも大の方だ。仕方なくナースコールをする。こればかりはいくら意地を張っても負けてしまった。

寝たままベッドの上、布団の中で排泄しなければならない。後始末も自分ではできないのだ。看護婦が来て、寝たままする便器を体の下に入れ、カバーを掛け、準備完了。「済んだら呼んで下さい」と部屋から出て行ってくれた。

しかしできない。
意識過剰なのか、どうしてもできない。
とっくに我慢の限界は超えているのに。
なんでこんな事…。無性に腹立たしく、悔しく、情けなく、無念の、屈辱の涙が……。こんな感情は初めての経験だ。

看護婦が戻り後始末をしてくれた。恥ずかしさも加わった涙を見られてしまった。彼女が無言で部屋を出て行ったのが、屈辱感を強めた。

午後、ウトウトしていると、看護婦長と一緒に男性が3人部屋に入ってきた。一人は学生服を着た若い学生だ。
「S先生から言われてきました。リハビリのお手伝いをさせていただきます」

しばらくして脳外科の院長先生とリハビリ担当もやってきて、私の前で作戦会議が始まった。どの程度までの回復が可能か・見込めるか。どの程度の運動に体が耐えられるかなど、本人の前で悲観的な話も、最良の効果の話も包み隠さず語られる。私はかなり冷ややかな感じで皆の話を聞いていた。

出た答えは、右手足のまひは杖使用で歩けるまで回復の余地はある。しかし、本人の体力と意思の持続が条件。1日4時間程度、週3~4日のリハビリが必要とのこと。

しかし排尿、味覚障害は彼らではなんともできない。「治す方法は無い、時間が解決してくれる可能性はある」これが結論だった。

「東葛まいにち」2009年2月11日号掲載


                                                  

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