国内唯一の構造を持つ、陸軍訓練棟



国内唯一の構造を持つ、陸軍訓練棟

 

照空訓練棟 外観

 第二次世界大戦時、柏は飛行場をはじめ、軍の施設が点在する「軍のまち」だった。現在は、住宅地となっている柏市北東部の根戸に、国内唯一の残存例となる軍の建物「照空予習室及測遠機訓練所」が残されている(柏市所有)。

 鉄筋コンクリート造り、高さ10メートルのこの建造物は、昭和42年から平成21年まで消防署として利用され、それ以前は軍馬の飼料を貯蔵する「馬糧庫」(ばりょうこ)と伝えられていた。現在は空き家となっている。

 市による取り壊しの方針が出たため、平成25~26年に柏市教育委員会が緊急に調査を実施。その結果、航空機を攻撃する陸軍高射砲第二連隊の訓練所として昭和13年頃に建てられたことが判明した。国内に7カ所しかない訓練棟のなかでも現存するのは柏市と加古川市のみ。さらに公共の所有で、起重機装置(クレーン)の支柱が残る建物は、国内唯一だ。

 高射砲訓練棟は、屋上と内部で二つの役割があった。屋上の「測遠機訓練所」の一番の特色は、逆L字の二本のクレーン支柱があることだ。それは、総重量が400㌔㌘を超える測遠器を地上から屋上まで運ぶエレベーターのように使われ、屋上に運ばれた測遠機で飛行する航空機の高度と航測を測る演習が行われた。現在はレーダーとコンピューターを装備した高性能の高射砲が用いられているが、当時の測遠機での演習が実践に大きな成果をもたらしたことが伺える。

 室内は「照空予習室」で、空をつくる建物だった。吹き抜けの空間に吊したキャンバス地に風景を描き、間接照明を当てる。そこに雲を投影することで様々な時間帯の空の状態をつくる。ここに飛行機の変則的な動きなども映し出し、高射砲射撃の指揮をする訓練をした。
かつては軍の重要な訓練所であった建物は老朽化により、柏市は取り壊しの方針を出しているが、この歴史的に重要な建物を資料館として残すため、柏の歴史を研究する柏歴史クラブは、年一回特別公開を行っている(高野台町会と共催、柏市教委協力)。
今年で4回目となった特別公開は、多い年で約600人も訪れた。歴史的重要性、希少性の極めて高い戦争遺構である。


                                                  

2018年11月28日 国内唯一の構造を持つ、陸軍訓練棟 はコメントを受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: 東葛ニュース

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