「盗み癖」を障害の現れと受け止める就労の枠を広げたい



「盗み癖」を障害の現れと受け止める就労の枠を広げたい

「こんな時間にすみません。どうしていいか分らなくなって…。緑がまた、お金を盗んでしまいました。今度は勤務先のスタッフの方のバックが開いたまま置いてあったのから…。25歳になりますから、もう起こさないよう祈っていたのですが…もう親として何をどうすればいいのか…明日は勤務先に行き『ご迷惑をお掛けいたしました。申し訳ありません。退職させます』とお詫びしてこようと思います」。母親の切なさに胸を刺されながら聞いていた僕は「退職させます」の言葉に驚き「お母さん、それはやめましょう」と叫んでいた。
何か手立てが見つかった訳ではない。ただ何となく「納得がいかない」と感じた。そして勢いよく「僕も一緒に行きますから『緑さんには盗み癖がありますが、それを承知して、採用を続けて下さい』と会社にお願いしましょう。
緑さんの盗み癖をもう隠さないでいいでしょう。緑さんのお世話になった、障害者就労支援センターの方にも、その旨をお話して、親と支援センターと僕達と、3者で会社に出向きましょう」と一気に続けた。
◎想いが先に立ち、理屈は後で付ける僕は考える。

◆緑さんに限ったことではない。実際に「ぬすみぐせ」のある子に接すると、「出来心」で「そこにお財布が置いてあったから」という気持ちの子が多く、盗ったお金をどこに隠したらいいか、困っている。一連の様子をその子に添って考えると、「自分でも何ともしがたい「癖」なのだ。

◆盗み癖を障害の現れと認識することが出来て支援することになれば、支援の方法は根本的に変わってくるだろう。「盗み癖の矯正」はいけない。支援者は「盗み癖で苦しんでいる方にどのような支援が出来るか」を真摯に考えることになる。
例えば、緑さんの場合、就職活動の段階で、就職先の担当者に、盗み癖のあることを知らせておく。採用されたら、担当職員には周知させる。従業員・利用者には、金品の管理は細やかに配慮するよう徹底させる。

万一、再び「盗み行為」が起きても、本人には「感情を交えず注意する」だけ、「罰」などはあってはならない。「支援者側が足らなかった配慮は何か」を討論する事になろう。


                                                  

2015年03月25日 「盗み癖」を障害の現れと受け止める就労の枠を広げたい はコメントを受け付けていません。 | トラックバックURL |

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