No205 ある父親の悩み



No205 ある父親の悩み

母親が子どもの思春期病に疲れて受診できず、父親のみが受診しているケース。

基本的には子育てに大きく関わった母親が変わるべきなのですが、精神的に病んだ母親にそれを求めるのは酷というもの。まずは、父親に子どもの価値観を尊重することから始めてもらいましたが、「なかなか思うようにゆきません」という話。

詳しく話を聞いたところ、「いくら私が頑張っても、妻が横から口を出して、上手くゆかないと私に説教するように求めてくるので、自分に一体何ができるのか分からなくなりました」というのです。
「お母さまはまだ抑うつ的な状態なのでしょうか」
「以前より多少はましかと思いますが、何かというと目が険しくなったり、ふさぎ込んでしまったりしています」
一理ある悩みでしたから、母親から順番に回復を求める手段をとることにしました。
子どもはさておき、母親の価値観を尊重することを第一に、できる範囲で子どもの価値観を尊重することにしました。
他者の価値観を尊重する術には、母であれ子であれ大きな差異はないからです。
次の受診日、父親の表情は明るく見えました。「妻の表情が穏やかになり、以前のように子どもを口やかましく叱ることが減りました」
精神科で「うつ病」と診断されない「抑うつ状態」のほとんどは、心のエネルギーが消耗した結果であり、子どもと同様に、心をふくらませる算段が有効なのです。
自分の価値観が否定されず、かえって尊重されるとしたら、嬉しさとともに小さなやりがいにつながるのです。
それは心をふくらませることに他ならず、わずか1カ月ほどで症状が軽くなったとしても何の不思議もありません。
この父親は、男性には珍しく強い受け入れ姿勢をもっているのかもしれません。短期間にこれほど理解が進んでいるのは称賛に値するのです。
「まだ黙れませんが」
「昔の習性で管理支配の言葉を使わないようにお伝えしているだけで、黙れとは言っていません。管理支配の言葉を見逃さないことが大切です」

次回は、「子どもの評価」


                                                  

2015年03月25日 No205 ある父親の悩み はコメントを受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: 思春期ブルー 連載記事

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