「うちの子は感受性が強すぎるのでは?」



「うちの子は感受性が強すぎるのでは?」

捨てられている子犬を見放せない少女

サイクルマラソンの帰路であった。休憩地点の公園でのこと。
 「あれ? 用水路の方から子犬の鳴き声がしない?」と声がかかり、都さん(14)は「本当だ!どこにいるんだろう?」と、自転車をおりて、鳴き声のする方へ行く。「あ!」用水路の草にまぎれて、ずぶぬれでクンクンと鳴いている子犬がいた。都さんは無我夢中で子犬を抱きかかえた。洋服が泥だらけになっているのにも気がつかない。「寒かったね。心細かったね」と頭をさすりながら、ぎゅっと抱きしめている。「洋服、よごれちゃったね」と声をかけられて「あ!本当!すごい泥だらけになっちゃった」と言って少しだけ笑った。でも、その後の都さんは、子犬のことを口にすることもなくゆうびまで戻った。反省会でも子犬を話題にすることはなかった。
 家に帰ると、都さんは、一人、泣きながら日記帳に向かう「…私が近づくと鳴くのをやめたので飼い犬だったろう…捨てられた。…誰かに拾われる期待もあって公園を選んだのだろう…私も連れて帰ることは出来なかった…捨てた人と同じ仲間、少しも変わらない…でも、私は…」と。
 母親は「感受性が強すぎるのではないか」と相談に来られた。僕は「感受性に〈強すぎる〉はない」と応える。
 後日、都さんに聞く。「ゆうびでも多くの人たちは、私ほど激しく感情を揺らせてはいない。私ってどうして?と思うこともありますが、こんな私でいいやって思って…。おかしいですか?『感受性が強い子』って言うなら、強い私でいいです。感受性って生まれながらのものか。生まれた後に育ったものか?う~ん。
両方かな。両親のそうした性質を受け継いだとしてもそれは『種』のようなものですから、生まれてからそれを育んで貰わないと、感受性を持つことは出来ないと思います。そう言う意味では、私は両親の元に生まれ、両親の元で育っていることに感謝しています。そういう運命の元で生きていることを神様にお礼を言いたいです。今回も偶然の『子犬との遭遇』でしたがいい体験でした。これからも多くの体験をして、私の感受性を守り優しくて強いものにしたいと思っています。」と。僕のコメントはいらない。


                                                  

2015年05月27日 「うちの子は感受性が強すぎるのでは?」 はコメントを受け付けていません。 | トラックバックURL |

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