自分に課す「背水の陣」真面目で一生懸命な青年の苦しみ



自分に課す「背水の陣」真面目で一生懸命な青年の苦しみ

功君(23)の母親が電話で「障害者雇用の枠で採用され『同室で働いている人たちは皆優しくて親切…、続けられるかも…』と言って、もう1年になるのですが。このところまた、欠勤する日が多くなり『目覚ましで起きるんだけど体が動かない』といいます。先生、功と話して頂けませんか」と。
さっそく話し合う。自分の状態も客観的に捉えている、会社での人間関係も受容的で良好、際立つ原因は見当たらない。そこで「無意識のうちに、良い仕事をして同室の方に好感を持たれたい…との想いが長く続いてストレスが溜まったのではないか…。週に1~2日くらいは『明日は、俺が俺に与える感謝デー・自己公休日』にして、前夜から遊びまくるつうのは、どうかね」といった話をしてみた。功君は「うっちーに聞いて貰って良かった。楽になりました」と応えて以後マイペース勤務を続けていた。

ところが過日、大きなギターケースを背負いながら「うっちー、俺しばらく、いや長くなるかも…ゆうびに来ません。実は、このところまた、欠勤が多くなり困っています。その原因は、ゆうびに来て閉園時刻まで好きなことをしている為だとわかりました。今日は、ゆうびに置いていた私物を全部持ち帰って…、「背水の陣」に自分を追い込まないと俺は駄目人間です」「…それで『背水の陣』などと言って…意味解る?」「まあ」「…中国の漢の時代に韓信という武将が、戦いの時、味方の兵士達に川を背にして陣地を敷かせ、兵士が退却出来ないようにして決死の覚悟で戦わせ、敵軍を破った故事から出来た諺です。

しかし、韓信は自分自身に『背水の陣』を課したのではありません。部下達大勢に命令したのです。功君やうっちーには当てはまりません。僕らは、絶体絶命の境地に自分を追い込んではいけません。自分をジレンマに陥れ苦しめるだけです。これから死ぬまで精一杯生きなければならないのですから、これからの生き方について選択肢は複数持つように工夫しましょう。起きられなければ『自己公休日』として欠勤しなさい」と力説してしまった。功君は深くうなずき、荷物を元に戻して帰宅した。


                                                  

2016年05月25日 自分に課す「背水の陣」真面目で一生懸命な青年の苦しみ はコメントを受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: 子どもの広場 連載記事

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