生命の神秘を素直に感得する    



生命の神秘を素直に感得する    

障碍のある人もない人も共に在る社会に

相模原・障害者殺傷事件。このような事件に出合うといつも一番に「犯人の人物像」を考えてしまう。新聞を2紙読み比べて想いを巡らすのだが見えてこない。何らかの精神障害・薬物の影響もあると思われるが、T紙への福島智氏(東大教授)の寄稿「…ヘイトクライムと優生思想の二重性が事件の本質の一つではないか…」に共感する。衆院議長宛の文面も彼なりの筋は通っている。政治にも関わる確信犯と思う。   悶々としているとき、強度行動障害のある娘さん(31)を家族で育てられ、2年前からグループホームに入居させ、入居者21人の家族会代表をされる高林さんが事件について話し合いたいと来園。子ども・若者たちと共に在る仕事をしている僕にとって、見過ごす事の出来ない課題である。麦茶一杯で、日本社会の有り様にも触れながら長時間話す。
多数少数に関わりなく様々な個性・特性の人たちによって社会は成り立っている事を実感させるには、幼児の頃から障碍のある人もない人も共在する集団や場所で育てたい。ゆうびはそうした理念で実践している。どのような状態像を示しても、その人を理解し受容する幅・深さ
は大きくなり差別意識はなくなる。
連日、重篤な障碍のある人を介護する職員の精神的ケアも重要な課題である。犯人が「この○○さんは、どんな気持ちで生きているのか。生きる意味があるのか。死なして上げよう」と考えてしまう事はありうる。「私だって一緒に死のうかとの思いがよぎる事があった」と高林さんが述懐する。その心境を察しられる人は居るだろう。しかし、殺したいと思う事と、実行する事との間には、越えてはならない『高い鉄壁』が在る筈だ。この鉄壁を信条とするのが人道であり人間の条件ではないか。
どのような支援をすれば鉄壁を自己の精神に構築出来るのか討論したが、難しい。…祖母が2歳の孫と庭の片隅に、死んだ金魚の墓をつくり草花と線香を手向け並んで合掌した…。こんなのでいい。「命」に関わる実体験を積ませたい。生きとし生けるものの不思議・神秘に心を振るわせ、愛おしさ・畏敬の念を抱く。鉄壁は強固になり、人心は柔らかくあたたかくなるのでは。


                                                  

2016年08月31日 生命の神秘を素直に感得する     はコメントを受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: 子どもの広場 連載記事

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