大切に育てると優しく出来る子が育つ  不登校の太君が「不登校生」を演じる演劇で



大切に育てると優しく出来る子が育つ  不登校の太君が「不登校生」を演じる演劇で

過日行われたゆうびフェスティバルの大トリで今年も学園生の演劇が上演された。銭湯を舞台に、不登校の主人公が番頭さんや奇妙な客たちとの出会いを通して自分の居場所を探すストーリーだ。

今年の主役に選ばれたのは10歳の太くん。幼い頃から年上の子たちが演じる様子を羨望の眼差しで見つめていた太くんだけに、やる気は充分だ。練習が始まると早々に台詞を暗記し台本を持たずに自分なりの演技を披露する。太くんの母親は「やる気があるあまり他の子の失敗などを攻撃しないか」と心配していた。太くんは最近まで一番年下で、弱い立場の子を大切にするゆうびで徹底的に大切にされてきた。かんしゃく持ちで神経質なところもあり、自分の思い通りにいかないと泣いて怒って相手を攻撃する。周囲は危険な場面以外はやんわりと受け流し温かく見守っていた。

主人公は転校してから学校に行けなくなったという設定。太くん自身は入学式を含めて1週間ほどしか小学校に行っていない。ある日の練習で太くんが小道具のランドセルに対し不快感を示した。必要以上に投げ飛ばしたり、練習で必要な場面でも持たず、演出の優くんが「ここはランドセル背負うところだよ」と言うとイライラした様子で「背負いたくない」の一言。「なんで?」の問いには答えなかった。数日後、太くんの方から優くんに「片方の肩にかけるだけでもいい?」と言ってきて了承した。

迎えた本番。太くんは落ち着いた演技で堂々と主人公を演じきった。問題のランドセルはしっかり背負っていた。上演後、客席でお母さんと見ていた赤ちゃんに「君も10年後オレみたいに主役やるのかな?」と晴れやかな顔で話しかけていたのが印象的だった。

甘えやわがままの許容は学校社会では本人の為にならないとされ排除される。しかし存分に大切にされ満たされた先に子どもが自ら成長する土壌が作られるように思う。本人がやってみたいと希望し、挑戦する課題はそこに撒かれる種である。成長の花を少しずつ育てていきながら、かつての自分がされたように幼い者、弱い立場の者に対して優しさを向けることができる人間になる。

 


                                                  

2016年12月21日 大切に育てると優しく出来る子が育つ  不登校の太君が「不登校生」を演じる演劇で はコメントを受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: 子どもの広場 連載記事

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