4 味覚障害
朝食は、おかゆと牛乳だけだ。おかゆはスプーンも使わず、飲めるほどのうすさだ。牛乳も一気に飲み干してしまった。何か味がおかしい。病院食は食べたことが無いので、塩分の少ない食事はこんなにも味気ないものかと納得していた。妻がデザートとして出してくれた一切れのメロンも味がしない。
今朝、1階の売店で買いそろえたノートに「メロンマズイ」と左手で書いて妻に見せた。日本語の片仮名はこんな時、書きやすくて便利だ、記号として使える。
妻は自分でも一口食べ「甘いですよ」と、また一切れ差し出した。口にしたが、やはり味がしない。
ナースコールして院長に来てもらい、味がおかしいことを訴えた。
「味を思い出して食べてください。しばらく、このまま様子をみさせてください。昨日の今日ですから」と言い残して部屋を出て行った。
入れ替わりに昨日のリハビリ担当が入ってきて、右腕の筋肉や筋を押し反応を確かめている。
握り締めたままになっている拳の小指、薬指、中指、人差指、親指の順に、ゆっくり伸ばし始めた。
かなりの力を入れているのが分かる。
「指を伸ばすのに合わせて、1・2・3……10、声を出して数えてください」
「あぁ、あぁ・・・あうぅ」
手を離すとすぐに、グーの手に戻ってしまう。
「自分でも指を伸ばす様に頑張ってください」と、そのリハビリも20分位で終わった。
この病院の9階は面会時間の制限はない代わりに、事前に届けた人しか病室に行けない様になっていること、事務室では9階の入院患者の名前は教えないこと、検査、診察も早朝や診察時間外にすること、院外からの連絡も各病室の直通専用電話でできることなどの説明を婦長から受ける。
2、3日はおとなしくベッドの上で検査の結果を待つしかない、あとはトイレをどうするかを考えるだけだ。
「東葛まいにち」2008年10月22日号掲載
2008年10月22日 コメント&トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリ: 今ここに在る命
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