No187 混乱



No187 混乱

ある母親の述懐。

「言ってよい言葉かどうか迷っているうちに機を逸して、子どもからは『無視するのかよ』と言われるありさまです。かといって、黙れている訳でもなくたくさんしゃべっています。自分が混乱しているのは分かっているのですが、どうしても黙れない自分に疲れてきました」

子どもの言葉や態度に目が向きすぎているようで、自分のための変貌を目指すべきところから、子どもをなんとかするための変貌へと方向がずれ始めたようです。

また、黙ろうと思いつつもしゃべってしまう自分に嫌気がさして、自分を責めることでますます自分を追い詰めているようでした。
こんな時のポイントは二つ。

一つは、黙っていようと思っているのにしゃべるのは、自分の意思というよりも脳の習性によるものと理解して自分を責めないこと。
言葉は、自分の口から出るのですべてが自分の意思と思いがちですが、意思に反する言葉の多くは脳の習性の類で、自分の意思はあくまでも“黙りたい”にあることを忘れないことです。

もう一つは、しゃべらないと決意をしているのに、それをかいくぐる言葉の正体を見極めること。

不注意や取り組みの甘さの問題ではなく、変貌を目指す自分に対して、過去にこだわる保守的な脳が、思い違いで上目線な指令をしているだけのことと考えることができます。

何気なく使っている「早く○○しなさい」、「○○したほうがいいわね」、「好きなことをみつけて頑張れば」などが上目線の言葉と気づき、不要で不快な言葉として執拗に追いまわしていれば、脳も、やがて勘違いの指令を緩めはじめます。

次の受診日、母親はふっきれたような表情でした。「言葉はまだたくさん出ていると思いますが、今まで口癖のように言っていた『早くしたら』を最近ほとんど言わなくなりました。脳と私の思いを並べてみることですっきりしました」

しゃべりに、自分と脳の二つがあることを意識するようになると、より冷静に言葉を評価できるので混乱しなくなるのです。

「東葛まいにち」2013年7月31日号掲載


                                                  

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カテゴリ: 思春期ブルー

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