No188 意志



No188 意志

不登校、抑うつ状態、強迫性障害、拒食症などの思春期病に共通するのは心のしなび。心をふくらます算段をとることによって回復するのがその根拠です。

その算段の一つが子どもの自立で、当外来では、親が従来型の管理・支配の子育てを改めて、上目線の言動考を減らすように推奨しています。

〝信じる、黙る、聴く、すべて任せる〟は、その具体的な方法ですが、理屈が分かっても実行しきれない方々がいます。

分かっているのにできないことは、日常生活でもよくありますが、言い換えれば、人は必ずしも自分の思い通りに行動できるものとは限らず、行動は意志だけでは十分制御しきれないことを意味しています。

ところが、私達は意志の力を過信しがちで、自らの意志を反映しない行動であっても意志によるものと思い込んでしまう傾向があります。

自分の意志が反映されない行動を指令しているのは、もちろん脳です。脳は、過去の行動に関する莫大な情報を保有、管理しており、過去に快さや喜びの結果につながった行動を繰り返すように指令するのです。いうなれば習性行動。

つい、何となく、いつの間にか、自然になどの枕詞のつく行動がそれに当たり、時には行動してから気づくことさえあるのに、私達は自分の意志と錯覚するのです。

ですから、もし意に染まない行動に気づいたら、せっかちに自省に走らず、脳に操られた行動ではないか振り返る必要があります。

例えば、子どもに上目線をとりたくないと決意しているのに命令や忠告をしている自分に気づいたら、脳に指令された習性行動ではなかったか疑ってみます。

もし〝つい〟や〝何となく〟がつく行動でしたら習性行動と判定し、現在の自分の意志には沿わない不要不快な行動として記憶に残すことです。

不本意な行動のたび判定と記憶を繰り返していると、やがてそうした行動は脳の快・喜の基準からはずされ、習性行動に悩まされなくなります。

自分の意志による行動を望むなら、何かにつけて点検し過去の習性行動を排除する心構えが必要でしょう。

次回は「プライド」。

「東葛まいにち」2013年8月28日号掲載




                                                  

2013年08月26日 No188 意志 はコメントを受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: 思春期ブルー

トラックバック&コメント

まだトラックバック、コメントがありません。