No.168 思春期病



No.168 思春期病

不登校は病気です。
怠けでも、甘えでも、権利でもありません。

こんなことをわざわざ書く理由は、病気という前提にたてば、子ども自身も自分の現状を理解しやすくなりますし、親も、それなりの対応を考えられるようになるからです。

では、どんな病気なのでしょう。原因はいろいろですが、病気の正体は心のエネルギーの消耗です。消耗すると、自分がしたいこと、しなくてはいけないと思うことを、思い通りにできなくなります。「学校へ行きたい」と言いながら涙ぐむ子どもなどはその典型です。

消耗した最も多い理由は、努力にもかかわらず成果ややりがいがついてこなかったこと。いくつか例を挙げてみます。

偏差値の高い学校に入ったばかりに、努力をしても期待通りの成績がとれない。

人間関係におけるコミュニケーションスキルに問題があり、努力をしてもよい関係が構築できない。

運動部で頑張っているのに指導者との折り合いが悪く、活躍の場を与えてもらえない。

自分の考えで頑張りたいと思うのに、親の指示、命令、提案が執拗で自由な行動がとれない。

数え上げればきりがありませんが、一旦心がしぼみ始めると、思い通りに行動できなくなるばかりか、自責の念も加わって、さらに心はしぼんでゆきます。

この時、子どもに、そういう病気になったという自覚があれば、無駄に自分のことを責めなくてすみますし、また周囲も、不用意な忠告、提案、激励などで子どもを更に戸惑わせることを防ぐことができるでしょう。

不登校にまで至らなくとも、無気力になったり、抑うつ的になったり、こだわりが強くなったり、体の症状のために日常生活に支障をきたしたり、と思春期にはいろいろな問題がみられますが、これらの背景にあるのは、おおむね心のエネルギーの消耗であり、どれも病気という観点から対応を考えるのが良策と言えます。

当外来で、こうした思春期の問題を、思春期病として括って対応策をお伝えしている理由は、こんなところにあります。

次回は「習性」。

 「東葛まいにち」2011年11月9日号掲載


                                                  

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カテゴリ: 思春期ブルー

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