No.132 わだかまり

No.132 わだかまり

〝わだかまり〟は、心に不快な感情がつかえている状態で、漢字で〝蟠り〟と書き、蛇がとぐろをまくことを意味するそうです。言いえて妙。

中学生の子供の不登校のために、数カ月思春期外来を受診していた母親の話。
不登校児に対して、親〝信じて、黙る、聴く、先回りしない(SDKS)〟ことは、とても効果的な対処法なので、その具体的な方法についてお伝えしていました。

ところが、いつまでたっても、「つい余分なことを言ってしまいました」とか、「つい手伝ってしまいました」とか、思うに任せぬ状態が続いていました。

ある日、「子供から手を離すという意味が分かりませんか?」と質問したところ、「頭では理解できているのですが、口と体が自然に動いてしまうのです」という返答。悲しそうな表情をしておられました。

ものごとを頭では理解できているのに、言動に反映しにくいとき、心に何らかの〝わだかまり〟が潜んでいる場合が少なくありません。

ちょっと気にかかるのが、母親と実母の関係。「子育ての連鎖」という言葉もありますが、子育ての方法は、代々受け継がれるものなので、実母との関係には注目しておく必要があります。

「実のお母さまは、どんな方でしたか?」

「・・・。ええ、何でも自由にさせてくれる優しい母でした」
 母親の目には涙がありました。

「どうされましたか?」

「いえ・・・そう思い込んでいただけかもしれません」

「といいますと?」

「自由にさせてもらった反面、放っておかれる寂しさも感じていた気がします」

「それで、自分の子供にはそんな思いをさせたくないと・・・」
「そうかもしれません。(手をかけて育てなくては)と思ってきましたから。・・・もしかして、それが子供から手を離せない理由でしょうか」

「ありえますね」

「分かりました。少しモヤが晴れた気がします」

〝わだかまり〟に気付くことで、SDKSすることが、随分と楽になったようでした。

次回は「価値観」

「東葛まいにち」2008年9月10日号掲載

                                                  

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