No.135 受容しないで

No.135 受容しないで

思春期の心の問題をテーマとするとき、必ず口にされるのが「受容」という言葉です。

「お子さんを、受容してあげてください」
「何を受容すればいいのですか?」
「お子さんのすべてを、です」

ある不登校児の母親が教えてくれた、カウンセラーとの会話。

「結局、何を受容するのか分かったのですか?」
「さあ?ところで、ここのクリニックでも受容なのでしょうか?」
「いいえ、ここでは逆に、受容しないようにお伝えしています」

学校へ行かず、勉強もしないで、パソコン、ゲーム、漫画びたりの子供を、心から受け容れられよう訳もなく、親自身が困惑するだけの話だからです。

納得できない子供の行動を、無理して受け容れるのではなく、病気の症状と捉えておくほうが自然だと思います。

「ということは、学校へ行くことを期待してもいいのですか?」
「もちろんです。ただし、それは病気が治った後に可能になることで、できない今、その期待をあらわにしてよい、という意味でありません」

ここでいう病気とは、心のエネルギーの消耗によって起こるもの。その症状である、不登校、無気力、強迫性障害などは、心をふくらませることでよくなってゆきます。

心をふくらませる最良の方法は、子供の自立。自立によって、やりがいや達成感が生まれ、気力や意欲も回復するという理屈です。

子供の自立を促す具体的な方法が〝信じる、黙る、聴く、すべて任せる(SDKS)〟療法であり、親が、子供を管理、支配しないことがポイント。受容、先回りといった、時として、上から目線となるような行動は慎むようにします。

SDKSの成果は、子供の自立行動の増加として現れますから、子供の自発的な行動に注目しておけば、治療効果を実感できるでしょう。

それまで床に脱ぎ捨てていた靴下を、洗濯カゴに入れるようになったり、突然の雨の日に、洗濯物をとりこんでくれたりと、他愛なく見える自発行動の先に、子供の自立は待っています。

次回は「甘え」

「東葛まいにち」2009年1月7日号掲載

                                                  

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