No.136 甘え

No.136 甘え

「それでは、甘やかすことになりませんか?」
私が、思春期病の治療として、“信じる、黙る、聴く、すべて任せる(SDKS)”療法についてお話しすると、語気を強めて反論する方がいます。

子供を全面的に信じて、忠告、提案、命令など一切しないことに対して、納得がゆかないのです。もっとも、それは当然の思いで、子供に対して不信の念を抱いているうちは、任せることを「甘やかし」と感じてしまうものです。

「心の病気のために登校できないのは分かりますが、遅く起きてきては、テレビ、マンガ、ゲームばかりの毎日で本当に良いのでしょうか?」

もちろん良いわけがありません。朝早く起きてちゃんと登校し、勉強して帰ってくるのが、正しい生活ですし、子供も、それを知らない訳ではありません。

思春期病は、心のエネルギーが消耗した結果、しなくては、あるいは、してはいけない、と思うことが、思い通りに行動に反映できなくなる病気なのです。マンガやゲームにふけるのも、症状の一つと考えます。

SDKS療法の目指すところは、子供を信任できる親。親から信任された子供は、自ら立ち上がります。自立によって、子供は、親に左右されないやりがい、達成感を獲得し、しぼんだ心を膨らませてゆく、という筋書きです。

親が、いつもまでも手と口を出していたのでは、子供の自立は叶いません。親は、これまでに自分たちがしつけ、教えてきたすべてが、子供の頭の中に蓄えられていると信じて、手を離し、口を出さないことこそが大切なのです。

なお、親がSDKS療法を始めると、当初、今まで甘えたことがなかった子供が、急に甘えるようになり、親を戸惑わせることがあります。逆戻り?

こうした場合の「甘え」は、親の容認、信任姿勢を感じ始めた結果であり、SDKS療法がうまくゆき始めた兆候くらいに考えておけばよいでしょう。いろいろな自立行動が見え始めるのと前後して甘えなくなってゆきます。

次回は、「過去のこと」

「東葛まいにち」2009年2月11日号掲載

                                                  

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