No.145 親の成長

No.145 親の成長

不登校、無気力、対人恐怖症、拒食症など、思春期の迷路の背景には、共通して、心のエネルギーの消耗がみられるものです。

ですから、本当の意味で正常な生活に復帰するためには、心のエネルギーの充てんが不可欠となります。

心のエネルギーを充てんするには、やりがいや達成感のある生活を送ることが効果的で、思春期であれば、すべての決定権を自分で握り、自分で考え、行動すること、すなわち、自立を通じて充てんすることが可能です。

自立が、何からの自立かといえば、言うまでもなく、親からの自立であり、思春期病の治療には「子どもが自立するフィールドを、親がいかにして用意できるか」にかかっているといっても過言ではありません。

思春期は、本来、子どもが自立を通じて大人へと変貌してゆく時なのだから、親も、大人になりつつある子どもの親として、変貌するのが道理というもの。

親が、子どもを管理、支配する形での子育ては、自立期までの子どもに向けた方法であり、自立を目指す子どもには、信じ任せることが重要となります。

当思春期外来では、思春期病治療の手段として〝信じる、黙る、聴く、すべて任せる(SDKS)〟ことをお勧めしていますが、そのまま、「大人になりつつある子どもへの正当な子育て法」ということができます。

また、SDKSを行うことは、子どもの思春期病からの回復を期待できるばかりでなく、親として成長するための絶好のチャンス、と考えることもできます。

子どもの成長に合わせて、自分なりに変わってきたと思える親は、まず1日、子どもに対して「黙る」努力をしてみてください。きっと、いかにたくさんの言葉を話していたか気づかれるはずです。

「正しいことは話してもいいですか?」と質問するかたもいますが、子どもが正否を知らぬわけもなく、話した分だけ「こんなことも知らない子」と、不信の心を伝えているようなもの。不信は、子どもに不信の行動を誘導するだけです。まずは、言葉による管理、支配から減らしてみましょう。

次回は、「共存」

「東葛まいにち」2009年11月11日号掲載

                                                  

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