「不登校のステージ」を自分史に明記したい2~読書ざんまいとイギリス短期留学の香さん



「不登校のステージ」を自分史に明記したい2~読書ざんまいとイギリス短期留学の香さん

香さん中1は「私、フリースクールになんか来たくなかったんだけど、ブスっとしたお母さんの顔を見なくてすむから…」と。母親は「月謝はかかりますが、昼ひ中、目の前をパジャマのままでうろちょろする我が子を見ないですむだけでも私の精神衛生にいい…」が理由で入園した。

毎日10時半ごろ登園し2階の図書コーナーで読書を始める。昼食の時もみんなの輪に入らない。端っこに座って、よそってもらっただけを食べ、そそくさと2階に戻り読み続ける。

夕方6時ごろ下園。帰り際、玄関でさらりと「今は何を読んでいるの?」と聞くと、「漱石の『三四郎』」と返してくれた。

「そう、漱石。『坊ちゃん』は?」

「この間、読んで面白かったので、今は、漱石をいろいろと…」

これが最初の会話。読後感想を話題にするのはずっと後のことになる。ほぼ2年間、読書ざんまいの生活が続く。

現代日本文学全集はほとんど読み、外国文学も、シェイクスピアの「ベニスの商人」から始まって、ヘッセ、ジッド、トルストイ、ヘミングウェイなどの作品を読みあさる。大作「戦争と平和」を読破し、当時のロシアの時代背景にもふれながら感想を聞かせてくれた。

もし、香さんが中学校に通学していて、この膨大な読書ができたろうか。物語の中に自分を投入して追体験することができたろうか。否である。彼女は不登校のステージで、自分の青春を満喫し、成就感を味わい、心をふくらませ育てていった。

中3の夏、知人は一人もいないのに「短期イギリス留学21日」のツアーに参加すると言いだし両親を驚かせる。

ある日、イギリスからコレクトコールで電話がきた。「うっちー。香です。電話代お願いね。イギリス生活の中間報告をします…」歯切れのいい力のある声、語いも豊富になって、適切な言葉遣い、生活の様子がイメージできる抑揚のある表現。長い電話であった。別人かと思わせる飛躍的な変容を感じさせた。

帰国して9月「高校卒業資格がないと日本では、いろいろと不利だから。私、定時制高校に進学します」と明言してそれを実行する。

「東葛まいにち」2009年12月9日号掲載


                                                  

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カテゴリ: 子どもの広場

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