不登校中学生、バンドで育つ 壱君たちの自立への一歩二歩



不登校中学生、バンドで育つ 壱君たちの自立への一歩二歩

「バンドを組んで演奏しようよ」と言い出したのは実君。それに、ドラムの寅君とボーカル&ギターの佳君とが同意する。壱君は乗ってこない。でも、「中古でいいと言ったのに、新品の高いギターを買ってもらっちゃったんだ」とちょっと照れながら、気が重い様子もみせながら1~2回は練習した。だが、心配していた通り、ギターを家に持ち帰ってしまい練習をしない。意欲的になれないのだ。学校で成功体験や達成感を味わう機会が少なかったことも影響しているのだろう。

かかわっているリーダーに時折、4人の様子を問うと「3人は出演すると思いますが、壱君はビミョウです。五分五分といったところですね」と。ゆうびフェスティバルに向けて練習を開始したが練習は波乱でいっぱい。みんなのレベルが合わないからバラバラ、練習を引っ張る人がいないからケンカも絶えない。リーダー達は気をもんだ。

フェスティバルが1週間後に迫ってやっと、それまで10分~20分しか練習していなかったのが、まとまって練習し始めた。だが壱君はメンバーから「ちゃんとやろうぜ」と声を掛けられることが多い。リーダーや年上の学園生達は、4人に手取り足取りの指導をし、適切な助言が加わる「いけるんじゃない?」「上達している」と。

そして本番。拍手の中舞台に駆け上がった4人。「はぁい!『課長風月(グループ名)』で~す」メンバー紹介に続いて「『スピッツ』の『涙がキラリ☆』聞いてくださ~い!」ボーカルの佳君の高い声が響く。拍手。メンバーが楽器をかまえる。目を合わせて「うん」と合図。寅君がドラムスティックをカッカッカと打つ。それぞれの楽器の大きな音が鳴り、演奏が始まった。自分の奏でる音に自分が乗り、目をきらきらさせる。時折笑顔も見える。緊張が心地よい緊張感に変わっていく。

4人は自分の演奏を快く感じ、やがて心奥から「いけてる」感覚がわいてくる、それこそが達成感…。観客は立ち上がり舞台に寄って歌い踊りまくる。壱君は「気持ちよかった。終わった瞬間がサイコー!この気持ち分かる?」と叫ぶ。

「東葛まいにち」2010年12月8日号掲載


                                                  

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カテゴリ: 子どもの広場

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