No.163 発達障害のある子と共に育つ2「その場の空気が読めない」ことを許容する



No.163 発達障害のある子と共に育つ2「その場の空気が読めない」ことを許容する

◆夜のゆうびの台所では、比較的年齢の高い子たちが語り合う。その中に発達障害のある夏君(中3)もいた。話題は恋愛のこと。

「司君は、女の子をかまうのが好きそうに見えて、実はかまってもらう方が好きだよね」と由さん。
司君は、「う~ん、そうかも…」なんてうなずいている。
「そういえば、司君はみんなにちょっとした意地悪をするのが好きだけど、それも意地悪するのが好きそうでいて、実は意地悪され返されたいんじゃない。Sに見えてMなのかな」。
それを聞いた司君は「深いなぁ」とつぶやいた。皆はドッと笑う。

ところが夏君は笑いの中に入れない。深刻な顔をして皆に注意する。
「その発言はまずいんじゃないですか。女性のいるところでSMの話だなんて!」

由さんが慌てて説明する。
「夏君、今はSMの話じゃなくて、性格的なSとかMという話だったのよ」でも夏君は納得できない顔……。

◆発達障害のある知さん(21)はタバコの煙が許せない。
「タバコは体に悪いんだよ」と、タバコを吸っている人を見つけると誰彼無しにそばにいっては言う。

それに加勢するのはやはり発達障害のある隆君(高2)。
大声で「タバコはですね~、がんになるし、気管支炎や喘息にも悪いんですよ。ニコチン中毒になってやめられないですしねぇ」
「そうだよ!自分が死んじゃってもいいの?それに周りの人にも迷惑をかけているんだよ」
知さんがますます調子づく。

ゆうびの中では「そうだねぇ」と相づちをうちつつ聞き流したり、「許して!」と甘える素振りでやりすごすのだが……。

★夏君はリーダーから繰り返し諭されたことを、知さんは両親が常々言っていることを、隆君は高校での指導通りに、それぞれ発言している、正論である。
けれどその場に流れる「微妙な空気」をうまく読むことができず、会話をストップさせてしまう。

これが発達障害への理解がない集団の中ではトラブルの元になる。発達障害のある子が不愉快な思いを周りに与えている、と思ってしまいがちだが、本当に苦しんでいるのは、そのことに気付けない発達障害のある子自身なのである。

「東葛まいにち」2009年7月8日号掲載


                                                  

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