No164. 発達障害のある子と共に育つ3 聴覚以外の感覚を遮断できる「電話」で…



No164. 発達障害のある子と共に育つ3 聴覚以外の感覚を遮断できる「電話」で…

司君は19歳。調子が悪くなると頻繁に電話を掛けてくる。日によって、リーダーの指名が変わる。

(1)チーフリーダーAとの電話
 …自分の頭を殴っちゃうの?…グーでかぁ。痛いでしょ。うん、なんかそれを物に替えることはできないかね?例えばぬいぐるみを壁にぶつけるとか…俺やったことあるんだよ、枕をぶん投げるとか…そういう代わりになるものはないかね~。…うん、やってみてよ。

◎「そうなんだ」「…と思うんだ」「もっと詳しく説明してよ」などと司君の想い・捉え方・考えを丁寧に聞き取り、若者同士の共感性を大事にしつつ情感ある誘導を行っている。
(2)若い女性リーダーBへの電話
 「…死ぬ前に彼女がほしい。Bさんつきあってくれないか?同情でもいい」。死にたいなんて言うと心配になったり、悲しくなったりするけれど、だからといって付き合えません。「エッチがしたいんだ。他の人は知り合って10日でしてるんだよ」。うわあ、信じられない!私なら同情でエッチさせてくれると思ってるの?私に対する侮辱ですね。切ります。…またね。

◎切り際の厳しさがいい。それでも「…またね」を付け加えることを忘れない。

(3)後期高齢者リーダーCとの話題は、人種差別は根絶できるのか。北朝鮮のミサイル攻撃が有ったらどうするか、など。司君は時に妄想も混在させて、末法思想的な論を展開してくる。例え奇弁であったとしても、論拠を明確にして事実に即し冷静に討論する。
◎Cは、司君の権力主義や二者択一的な思考パターンに、話し合いを続けることで柔軟性を持たせることができたらと思っている。

司君は、アスペルガー症候群の診断を受けているがリーダーたちは、診断名に囚われることなく、彼の個性・持ち味・強烈なこだわりに寄り添う。

彼もまた、その相手と聴覚以外の感覚を遮断し、想像力をたくましくして話し合える「長電話」で精神的な安定を得ようとしている。

3リーダーには、何の打ち合わせもない。志(理念)を同じくする者同士の以心伝心である。
9月12日教育シンポジウム、ご参加下さい。

「東葛まいにち」2009年8月12日号掲載


                                                  

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