効率最優先のしわ寄せが弱者の人間性を… ベルトコンベアーでお弁当を詰める仕事



効率最優先のしわ寄せが弱者の人間性を… ベルトコンベアーでお弁当を詰める仕事

詩さんは、22歳。高校卒業後、定職にはつけず、バイトを探しても、長くても4、5カ月で「私にはできない」とやめたり、「ミスが多すぎる。3週間経っても一人で仕事ができない。作業がのろい」などでやめさせられてしまう。

今、サポートセンターの紹介で働いているのはお弁当屋さん。
ベルトコンベアーで流れてくるお弁当箱に総菜を詰める仕事だ。

帰ってくると、決まって、僕の肩に顔を押し当ててしばらく泣く。
「今日は、『煮魚を皮を下にして入れて』と指示された」。他の人は、皮を下にするだけでなく、切り身の形を考えて向きも工夫して奇麗に盛り付ける。

ところが詩さんは、皮を下にするのが精一杯で、奇麗に盛りつけようとすると、ベルトコンベアーの速度を落としてもらわなければならない。「『何回言えばわかるの!』と怒鳴られた…」。

詩さんは、働いて生活できるだけの収入を得て自立したいという意志は強い。叱られることが多く、達成感を味わったことはほとんど無い。

僕は、大人一般ならできて当たり前の仕事ぶりを褒め「キチンと勤め続けていて偉い。辛いことがあっても一生懸命やりますから仕事を続けさせてください、と言い続けること。泣くのは帰ってきてからにしなさい」と。

すすり上げながら「はい」と言う詩さんがいじらしい。

それにしても、職場の方は、主婦の方がほとんどで、お子さんもいる方も多かろうに、詩さんに優しく接して下さる方がほとんど居ない。

ふと、チャップリンの「モダンタイムス」が頭をよぎった。ベルトコンベアーで流れ作業と分業が行われれば、職場の方々の思いやりや優しさも機械に押しつぶされてしまうのか。効率最優先のしわ寄せが弱者の人間性を痛めつけるのではないか。

僕自身もそれを承知で、職場の方々と同じように「残酷な忍耐」を詩さんに強要している。自己矛盾もはなはだしい。やりきれない想いである。

詩さんは、障害者手帳をとって障害者枠で働く方がいいのではないか、とも考えるが、詩さんに「そうしなさい」と勧めることにもちゅうちょがある。

『東葛まいにち』2月8日号掲載


                                                  

2012年02月07日 効率最優先のしわ寄せが弱者の人間性を… ベルトコンベアーでお弁当を詰める仕事 はコメントを受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: 子どもの広場

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