ゆうびの「共在活動」は今(2)思いがけなく起こる出来事の場に共に在るから…



ゆうびの「共在活動」は今(2)思いがけなく起こる出来事の場に共に在るから…

夏のお泊まり会中、紗ちゃんの姿が見えなくなった。昼過ぎ頃、子ども達が縁日形式で昼ご飯を食べたり遊んだりして盛り上がっているところだった。紗ちゃんは重い自閉症。こちらの言うことは大体理解するが、単語での発語がほとんどで意思疎通には「共在経験」が必要である。

まず、紗ちゃんとよく散歩に出掛けるリーダー麻さんと、普段から紗ちゃんの面倒をよくみている詩さん、穂君が飛び出していった。続いて他のリーダー達も探しに行く。誰も指示はしていない。
園内では、リーダー誠さんが一人、28人の子ども達が楽しむ縁日を見守り、僕は電話の前に座る。

十数分で紗ちゃんは無事見つかった。リーダーに連れられて玄関を入ってきた紗ちゃんは、いつもより神妙な顔。僕は紗ちゃんの両手を握って「お帰り。ゴメンね」と言っておでこにキスを。紗ちゃんは「ゴメンナチャイ」と明瞭に応じた。

その後、麻さんから報告を受ける。
【紗ちゃんがいつも選ぶ散歩コースをたどった。ブランコに乗る公園、草をむしる用水路…。いない。途中、道行く人に目撃情報を聞き、飛び上がる気持ちで先を急ぐと紗ちゃんの後ろ姿が見えた。いつものようにU字溝にまたがってゆらゆら歩いている。「紗ちゃん!」声をかけると麻さんの方を振り返るが、またゆらゆらと楽しそうに歩き出す。紗ちゃんに駆け寄った麻さんは紗ちゃんのほおを打った。「だめでしょ!一人で行ってはいけません!一緒に行くんだよ…」「イターイ、ゴメンナチャイ」。見つかった安堵感と、紗ちゃんへの申し訳なさと、はがゆさで涙が出た】と。

麻さんと僕とには、紗ちゃんへの接し方に質の違いが出た。この違いが紗ちゃんの成長に役立つ。

「麻さんと僕の立場が、日頃の紗ちゃんへの接し方を含めて完全に入れ替わったら、麻さんは『お帰り…』と迎え、僕が紗ちゃんを打っていただろうね…」
「はい、きっとそうだと思います」と。

思いがけなく起きる出来事の場にリーダー達が「共在する」と以心伝心、災いを転じて福となす、も可能になる。

「東葛まいにち」2012年10月10日号掲載


                                                  

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カテゴリ: 子どもの広場

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