「刻まれし記録、記憶、存在」



「刻まれし記録、記憶、存在」

北嶋秀朗左胸のエンブレムに、誇り高き2つの星を輝かせてくれた「英雄」は、少々唐突に日立台に別れを告げた。

5月26日、20時40分。日立台は、サポーターが掲げた背番号「9」のプラカードで黄色く染まった。ゴール裏中央部分には巨大な背番号「9」の人文字が描かれ、いつもより、噛み締めるように響き渡った応援歌が、北嶋秀朗をピッチへ誘う。

「新しい仲間が待っている」(北嶋)ロアッソ熊本への旅立ちの舞台が整ったピッチに歩みを進める北嶋を、サポーター、そして、苦楽を共にした仲間たちが出迎えた。

北嶋は、「チームを去る自分へのリスペクトへ対する感謝」を一番に述べ、「レイソル、日立台、サポーターのことを自分の大切な場所に保管しておく」という言葉で、その場を締めた。

仲間たちから送られたメッセージ入りのユニフォームを大谷秀和から手渡された際には、それまでこらえていた感情が溢れ出したのだろう、そのユニフォームで顔を覆った。水野晃樹が駆け寄るまで、北嶋の頬を伝った大粒の涙が、彼の思いとなって、日立台のピッチに、しみ込んでいくようだった。

バックスタンドの声援に応えながら、ゴール裏までたどり着くと、「どんなに苦しく、辛い状況になっても、レイソルを支え、レイソルを守ってほしい」とサポーターに呼びかけた。約束を堅く誓い合い、セレモニーは幕を閉じた。

思えば、いつもそうだった。「苦しい状況、辛い状況」にある時には、いつも北嶋の姿を探していた。表情で、プレーで、背中で、言葉で…すべてで応えてくれたからだ。

己のすべてをもって、私たちの「大切な場所」に収まりきらないほどの記録。その記録そのものを超えるような記憶を残し、「存在」そのものを刻んだレイソル戦士、北嶋秀朗。

私たちは、まだ北嶋のことを、あの日、焼き付けた光景を、交わした誓いを、「思い出」にはしない

(文・写真=神宮克典)
柏レイソル公式HP http://www.reysol.co.jp/
「東葛まいにち」2012年6月13日号掲載


                                                  

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カテゴリ: がんばれ!柏レイソル

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